「大きなカメラは重くて結局持ち出さなくなる」
そんな経験、ありませんか?
ぼくもかつては一眼レフを使っていましたが、次第に荷物になることがストレスになり、気づけばスマホで済ませる日が増えていました。そんなときに出会ったのが、Canonのミラーレス『EOS M3』です。
EOS M3を使い始めてから、気づけば1年半以上。
これまでレンズや撮影の話はたくさん書いてきましたが、本体レビューはしていなかったので、あらためてまとめておくことにしました。
「間違いなく買ってよかった。思い切ってミラーレスに切り替えたのは、自分にとって大正解だった」
そんなふうに思えるカメラです。
発売からはすでに年数が経ち、新品で手に入れる機会は少ないかもしれません。でも、中古やオークションで検討している方にとっては、いまも魅力のある1台。
「最新じゃなくてもいいから、画質がよくて軽いカメラがほしい」
そんな方に向けて、EOS M3の魅力と使い心地を紹介していきます。
少し長くなりますので、最初に「よかったところ」と「気になったところ」をざっくりまとめておきます。
デメリット
おすすめポイント
軽くまとめるとこんな感じです!
EOS M3についての評価やレビューをもっと詳しく知りたい方は、目次をクリックして気になるところから下のほうまで読み進めてみてください。
飽きたらまた上に戻ってきてまとめを読んでみてください。
EOS M3の概要と外観デザイン

まずはスペックや特徴をまとめます。
ミラーレス一眼カメラ『EOS M3』のスペックレビュー
名前 | EOS M3 |
センサー | APS-C |
サイズ | 約110.9×68.0×44.4mm |
重さ | 約366g(バッテリー・カード含む) |
焦点距離 | 交換式(EF-Mマウント) |
顔認識 | 対応 |
起動時間 | 約1.0秒 |
手ぶれ補正 | なし(レンズに依存) |
モニター | 3.0型/約104万ドット/チルト式タッチパネル |
EOS M3は、発売から1ヶ月ほど経ったタイミングで購入しました。
当時、Canonのミラーレスカメラはあまり注目されておらず、「本気で作っていない」といった印象を持たれていた時期でもありました。ですが、M3の登場によってその空気は一変します。
もちろん、前モデルのM2も決して悪くはなく、実際に触ってみると「軽くて扱いやすい良いカメラだな」と感じたのを覚えています。
ただ、他社のミラーレス機と比べると、どうしても本気度では劣っているという評価もありました。
そんななか登場したEOS M3は、そうした見方を覆すだけの強いインパクトを持っていました。
Canonユーザーが待ち望んでいた「ようやく本気を出してきた」と感じられる1台です。
これまでのCanonミラーレスが“サブ機”的な立ち位置になりがちだったのに対し、M3はしっかりとメイン機として使える実力を備えています。
ここからは、そんなEOS M3の使い勝手や外観、操作性について詳しく紹介していきます。
外観はCanonらしさがありかっこいい

ミラーレス機になっても、EOS M3にはしっかりと「Canonらしさ」が感じられます。
などクラシックデザインや無骨で洗練されたデザインを前面に出したモデルも多いなか、
EOS M3はどちらかというと実用性重視のシンプル設計。
遊び心のある見た目を期待すると、少し物足りなく感じるかもしれません。
個人的には、もう少し外観に工夫があってもよかったなと感じる部分もあります。
とはいえ、見た目重視の選択肢がまったくなかったわけではありません。
ぼくがM3を購入した当時はまだ選べなかったのですが、のちに登場した『EOS M10』はデザイン面でかなり個性があります。
たとえば…
「Canonのミラーレスがいいけど、見た目にもこだわりたい」
そんな方には、EOS M10も視野に入れてみるのがおすすめです。
EOS M10の特徴

カメラを始めて購入される方にはちょうど良いですね。
Amazonで「EOS M3が大きくなってしまったことが残念だった」という口コミもありましたの。
M3よりもコンパクトになったEOS M10はよりコンパクトなカメラを使いたいと思っている方におすすめです。
Canonのミラーレスを使いたい!でもデザインが気に入らない!ってときは「EOS M10」を選ぶのもアリ
EOS M3の特徴と便利な機能

小さいミラーレスながらも特徴はたくさんあります。
画質面でも安定感あり

フルサイズ機ではありませんが、APS-Cセンサーを搭載したミラーレスとしては、EOS M3の画質は十分満足できるレベルです。
2400万画素という数値だけを見ると、今の基準では“特別高画質”とは言えないかもしれません。
それでも、撮って出しで見たときの写真はとても自然で、細部の描写もしっかりしています。
高感度耐性については控えめ

とはいえ、ISO12800でも撮れないことはないというのが実感です。
ぼく自身は、
多少粗くなっても撮り逃すよりは撮れたほう良い
と感じるタイプなので、ISO12800でも積極的に使っています。
»子育て世代におすすめのコンデジ6選|軽さと写りで選ぶ最強モデルまとめ
ただしこれは、あとから現像(加工)する前提の話。
ISOオート設定のままだと、必要ないシーンでも12800まで上がってしまうことがあるので、ISOの上限は事前に設定しておくのがおすすめです。

画素数や高感度性能にこだわりすぎず、自然な色合いや解像感を楽しめる。
そんなEOS M3の描写は、使ってみてこそわかる魅力があります。
後付け(別売)EVFファインダーもあり

これまでのEOS Mシリーズにはファインダーが付いていませんでした。
それがM3からは新たに外付けのEVFファインダー(別売)が選択肢として増えたのはかなりのメリットです。
これにより、Canonのミラーレス一眼カメラの立ち位置も変わってきたのではないでしょうか。


ファインダーを上からものぞけるので、極論ですが床においてもファインダーを見れます。(液晶でもいいけど…w)
「内蔵ファインダーでも良いのでは?」
という気持ちも若干ありました。
実際使ってみるとファインダーを取り外しできるのは便利でした。
視認性も高く、目の周りにぴったりとフィットするような作りになっているので、撮影に集中できます。
逆に撮影に集中しすぎて困る場合はファインダーを外すこともできますので、メリハリをつけてカメラを楽しめます。
チルト液晶

チルト液晶のカメラを初めて使いましたがかなり便利ですね。
液晶が少し動くだけのモノはコンデジで使ったことがありますが、完全に反転するタイプのほうが断然便利です。
チルト液晶についてのメリットをあげてみます。



この機能によって下から撮ることも増えました。
タッチシャッター

「肉眼で被写体を見ておきたい。でも撮りたい……。」そんなときにはタッチシャッターが便利です。

タッチシャッターを使うとピンポイントでピントを合わせるのが早いので、時間短縮にもなりますし被写体を肉眼で見ながら撮影を楽しむこともできます。

僕は赤ちゃんを撮影するときにタッチシャッターが便利だなと感じました。赤ちゃんの表情は自分の目でも見たいんですよね。
顔を見せて笑わせつつなんとなく撮る。
そんな感じで良いのではないでしょうか。
Wi-Fiの設定など

EOS M3はWi-Fiが搭載されているカメラなんで、いわゆるスマホにも写真を送れるデジカメってことです。
最初はカメラ本体と他媒体(iPhoneなど)をWi-Fiで接続できるものとは思っていませんでした。
無線LANルーターを経由して繋ぐものだと認識していたので、「まあそんなにたいしたことないな」と偉そうに思っていたのですが、本体と繋がるなんて最高すぎますね。
車の中でもどこでも気軽に写真をiPhoneなどに送信できるので、すぐに友人に送ったりすることもできます。
クリエイティブフィルターを使って遊ぶ
クリエイティブフィルターを使えば、撮影してすぐさまおもしろい加工を機械側が勝手にしてくれます。
HDRからモノクロまでさまざまなフィルターが備わっているので、簡単に他の人と差をつけたい時には使えるかも。



EOS M3のサイズ・重量をチェック|持ち歩きやすさは?

ただし、「とにかくコンパクトさを重視したい」という方には、前モデルのEOS M2のほうが優れている部分もあります。
そこであえて、M2との違いを比較してみます。
EOS M3は厚みが約4.4cm(正確には44.4mm)。エントリークラスの一眼レフだと厚さ8cm前後あるので、それと比べれば十分に薄く感じられます。
正式なサイズは
約110.9(幅)×68.0(高さ)×44.4(奥行)mm(Canon公式より)。
特にM2と比べて大きく変わったのが「奥行き」。10mm以上の差があり、M3はやや厚めの設計になっています。

そして重量も本体のみなら319gと軽量。これもM2に比べると重くはなっていますが、かなり軽い部類に入ります。
M2からの乗り換えをすると携帯性は若干劣るかもしれませんが、それを補うほどにM3の性能は充実しています。
機材 | EOS M2 | EOS M3 |
サイズ | 約104.9(幅) 65.2(高さ) 31.6(奥行)mm | 約110.9(幅) 68.0(高さ) 44.4(奥行)mm |
重量 | 約238g | 319g |
一眼レフが重すぎて持ち出さなくなった…という方にとって携帯性の良さは嬉しいポイントです。
タッチパネルで直感的な操作も可能

ダイヤルの位置も使いやすく、さらには液晶がタッチパネルとなっていますので操作がとても簡単です。
最近のカメラは当然のようにタッチパネルとなっていますが、実際に使用したのは初めてでした。
使用感はかなり良いです。感度も良いし、画面を見ながら操作するときはタッチパネルのほうが早い場合もあります。
M-Fnボタンの設定はしとくべき
操作面でひとつ注意したいことは「M-Fn」のボタンは自分で設定しなければ最初はなにも反応しません。




最後は自分の使いやすい機能を、好きなボタンに割り当てておきましょう。
ぼくは「絞り込み」機能をよく使っていて、これが意外と便利なんです。ほかにも、撮影スタイルに合わせて設定しておくと重宝する機能がいろいろ揃っています。
ちなみに絞り込みとは、ピントがどれくらい合っているかを事前に確認できる機能。撮影後の画面でもチェックできるので、精度を求めたいときに便利です。
操作面に関しては、ここまで押さえておけば十分実用レベル
IINFOボタンやメニューボタンを活用すれば、主要な設定もすぐ変更できます。
慣れてきたら、自分なりにボタン配置をカスタマイズしていくのがおすすめ。少し手間はかかりますが、設定を工夫することで操作性は一気にアップします。
基本性能と実用性
AF速度はストレスがない程度の速さ

AF(オートフォーカス)の速度は、以前使っていたEOS Kiss X3よりも明らかに速くなっています。
とはいえ、「爆速!」というほどではなく、ほどよいスピード感といったところ。普段使いで困ることはまずありません。
特に相性が良いのは、ミラーレス専用のEF-Mレンズ。
AF性能を最大限活かしたいなら、このレンズを使うのがベストです。
一方で、EFレンズ(※一眼レフ用)をマウントアダプター経由で使用すると、やや遅く感じる場面もあります。
さらにSIGMA製レンズになると遅延が気になることもあり、場合によってはマニュアルフォーカス(MF)のほうが快適に感じることも。

AFまわりで感じたポイントをまとめると…
また、EOS M3では測距点が49点に増加。
ピント合わせの精度と自由度が大きく向上しました。
なかなか合焦せずイライラするときは…
といった方法を試すと、あっさり解決することもあります。
AFまわりは工夫次第で、かなり快適に使えるカメラです。
バッテリーは動画を撮らなければ1日はもつ(電源はこまめに切る)

バッテリーでは悔しい思いをしたこともあります。
動画撮影をしていて半日もたず、その日はたまたま宿泊中のホテルに予備バッテリーを忘れていました。
撮影可能枚数も200枚前後なので、なるべく予備バッテリーは用意しておきたいですね。
動画を撮らなければ1日撮れると思いますが、使わない時に電源は切っておいた方が無難です。
さまざまな操作を知る上でおすすめの本

説明書をじっくり読むのはちょっと面倒。
でも、作例付きの解説本なら意外と読みやすくて、むしろ楽しく感じられました。
ふだんはファッション誌すら読まないぼくでも、カメラの操作や設定について、自然と理解が深まっていった感じです。
この本で「ファンクションキーってこう使うのか」と気づいたり、
「あれ、これ便利かも」と思える発見もいくつかありました(細かいところは忘れましたが…)。
なんとなく読み進めるうちに、気づけばカメラ操作がラクになっていて、
結果としてEOS M3をもっと活かせるようになった気がします。
EOS M3にEF-Mレンズ装着してみる
EOS M3はさまざまなレンズを使うことができます。僕自身が使用しているレンズも混ぜつつ紹介していきますね。
初心者はまずダブルズームレンズキットがおすすめ

初心者のときはなにを買えば良いかもわからないと思いますので、とりあえずダブルズームレンズキットを買っておけば間違いありません。
広角側から望遠が200mmまであるので、どんなシーンにも対応できます
Canon EF-M22mm F2 STM

開放F値2の明るく描写力も素晴らしいレンズです。形状も薄型のパンケーキレンズで携帯性も完璧。
背景をぼかした写真を撮りたいときにはこのレンズを使えば完璧ですね。



»【作例あり】Canon EF-M22mmF2 レビュー。コンパクトでおすすめ単焦点レンズ
Canon EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM

このレンズは本当に買って良かったレンズです。
超広角レンズは広角側の描写力も高い点も優れてますが、意外と寄って撮れることがすごくおすすめのポイント。





»『Canon EF-M11-22mmレビュー』ミラーレス一眼用超広角ズームレンズが楽しすぎる!
マウントアダプター + EFシリーズレンズ(一眼レフ用レンズ)

まずマウントアダプターを簡単に説明しますと、EF-MレンズとEFレンズ繋ぐパーツです。公式な説明でもこんな感じです↓
交換式レンズで異なるマウントのボディにもレンズを装着できるようにする繋ぎのパーツ
わかりにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんので、写真も載せておきます。

Canonと書いてある部分がマウントアダプターです。
ここからが本題です。
マウントアダプターを使えば、これまで使っていたレンズ資産をミラーレスでもそのまま活かせます。これがEOS M3を楽しむうえでの、ひとつの大きなポイント。
ぼく自身、Canon用のEFレンズを何本か持っていたので、ミラーレスを選ぶときは迷わずCanonを選びました。
ミラーレスカメラに乗り換える際のデメリットとしてよく言われるのが「マウント変更によるレンズの使い回しができなくなること」。でも、マウントアダプターがあればその問題もクリアできます。
実際にいくつかのレンズをEOS M3に装着して撮ってみたので、どんな雰囲気になるのかを紹介していきます。
SIGMA 30mm F1.4 (単焦点レンズ)

先ほども写真を載せてしまいましたが、まずはSIGMAのSIGMA 30mm F1.4単焦点レンズ。
とにかく明るいレンズでこれからも継続して使用したい1本。

このくらいのサイズになるとちょっと本格的なカメラっぽく見えてきてかっこいいです。
レンズ自体の重さが400gを超えますのでマウントアダプターも合わせると800gくらいにはなりますが、全く問題ありません。
Canon EF50mm F1.8 (単焦点)

Canonの撒き餌さレンズと言われている50mmの単焦点レンズ。
このレンズでカメラにはまった方も多いはず。見た目はゴツくなりますが、レンズの重さが130gなので、550g前後とかなり軽いです。

フルサイズ換算で焦点距離は80mmなので、ポートレート用のレンズとして活用するのも良いかもしれません。
SIGMA17-50mm F2.8 (ズームレンズ)

ズームレンズの中でも明るいシグマ 17-50mm F2.8 。通しでF2.8開放で使えるのがメリットです。
このレンズはかなり重量がアップしてしまいますが、ちょっと本格的な感じに見えますので、たまには付けて遊ぶのも良いですね。

今までズームレンズに助けられたこともたくさんありますので、このレンズも継続して使いたいです。


結婚式のときに活躍しました。
マウントアダプターを連結してオールドレンズで遊ぶ
ミラーレス一眼カメラの人気が上がってきている背景には、オールドレンズを楽しむ方が増えていることもあげられます。

上の写真のようにマウントアダプターをふたつ重ねます。

それにオールドレンズを付けるとこのような感じになります。
ゴツくなり重量も結構なものになりますが、撮れる写真は現代風の写真とはちょっと違った雰囲気になり、ひと味違った楽しみ方ができるようになります。


僕が使っているのは「MINOLTA MC ROKKOR-PG 50mm F1.4」通称、緑のロッコールと呼ばれているレンズです。
50㎜のレンズで、アダプターを重ねてさらにAPS-Cサイズのセンサーに付けているので、焦点距離は104㎜。
ちょっと使いづらいですが、最初は「これ自分で撮ったの?」と驚いてしまうような写真が撮れます。


ミラーレス一眼でオールドレンズを使う場合は、レンズなしレリーズをONにしておかなければ撮影できませんので注意。
「カメラの本体はオールドレンズの存在を認識できないので、レンズがない状態でもシャッターを切れるようにしておこうね」
という設定です。
EOS M3のまとめ

EOS M3を1年以上使ってきたレビューということもあり、かなり長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございます。
個人的な感想としては、自分のライフスタイルにぴったり合うカメラを選べたと思っています。
もちろん、フルサイズの本格カメラに憧れる気持ちもあります。
でも、やっぱり気軽に持ち出せて、さっと撮れるカメラのほうが使用頻度も高くなります。
そういう意味でも、EOS M3は本当にいい買い物でした。
EOS M3は、こんな方におすすめです。
「Canonのミラーレスは気合が足りない」と言われることもありますが、実際に使ってみると携帯性・操作性・描写ともに申し分のないカメラです。
新しいミラーレス機も次々と登場していますが、EOS M3は「Canonが初めて本気を出した」とも言われたモデル。AFも速く、携帯性も抜群で、見た目もシンプルでかっこいい。
いまはFUJIFILM X100Fを使っていますが、型落ちのEOS M3を中古で手に入れるのも、いまなおおすすめできる選択肢です。
Canon Kiss Mシリーズを試してみたい方へ
EOS M3の後継機として人気の高いKiss MやKiss M2は、EF-Mマウント対応のコンパクトなミラーレスとして、いまでも根強い人気があります。
Mシリーズの生産こそ終了しましたが、EF-Mレンズの需要は継続中。
レンズ資産を活かしたい方や、これからCanonのミラーレスを試してみたい方にもぴったりの選択肢です。
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